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「頼ちゃん、だよね。僕は成瀬理央です。このクラス字は違うけど、なるせが2人いるから、出来たら理央って呼んでくれると助かるよ。間違って振り向いたりするの、結構恥ずかしいんだあれ」
懐かしんでいると、優しい声に頭が追い付かなかった。今のって、斜め前から聞こえた?
1人称が“僕”というのは、とても意外で、一瞬本当にこの人から出た言葉なのかと疑ってしまうほどだった。見た目と中身が噛み合わない。
真面目そうじゃないのに、口調はとても真面目そう。外見だけで判断してしまっていた。
「あ、蒼井頼子です。よろしくお願いします」
わたしが自己紹介するのを待っているかのような3人からの視線を感じて、慌てて言葉を並べた。
「あれ……頼子? 頼子って、知ってるかも。違ってたらごめん。小学生のとき、3組で同じクラスじゃなかった?」
「……え、ほんとに、ハルちゃんなの?」
あのハルちゃん!?
さすがに本人なわけはないと思ってた。あの頃と雰囲気も見た目も変わっていて、顔を見ただけじゃまるでわからなかった。
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