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図書室で適当に借りた本をバッグに入れて、空を仰ぐ。どんよりとした曇り空。
行かなくてもいい放課後まで図書室に行ってしまったのにはきちんと訳がある。
今日雨が降ることは、ちゃんとわかっていた。朝は降っていなかったし、ビニール傘が置いてあるはずだから大丈夫だろうと傘を持たずに学校に来た。
まさか、その傘が盗まれるとまでは予想していなかったんだ。
待っていれば止むかもしれないと図書室で時間を潰してみたとのの、雨はまったく止む気配を見せない。
このまま帰るとしても、駅に着いてからが問題だ。それに、続きが気になって借りてきてしまった本を濡らすわけにはいかない。
何で借りてきたんだろうと、今更ながらに後悔した。返しに行くか、せめて教室に戻しに行った方がいいかもしれない。
その間に少しくらいはマシになってくれたらいいなあと思いながら、教室へと足を運んだ。
教室に近づくにつれ、騒がしいのがうちのクラスだということに気がついて、足が重くなる。
……これって、きっとわたしの席も座られてるよね。楽しそうな笑い声が、どんよりと心を重たくした。
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