そう言うと、彼女は消えた

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私の家は、「転勤族」だ。 「学校指定の服装」に家の財政を圧迫、「最初の学校の制服」を着続ける他なかった。家庭の事情なら仕方無い、そう割り切っている。だけど。 A「それと友が出来ぬのは別問題、だろ?」 桜柄のうすピンク色の浴衣と簪を挿した、偉そうな口調の女の子。 A「私はお前が折った「神衣」、お前の悩みくらいお見通しよ」 事の始まりは、七夕たる今日、笹に短冊と、折り紙で「神衣」を折って飾っただけ。 それが、なぜか女の子に化けて、もう終わりに入った祭りに連れて行かれた。 A「案ずるな、「これ」は私が持っていてやる」 B「何を?」 A「お前の父に憑いていた悪縁を」 B「!?」 A「もう、お前は着る物に困らん。もう、人と距離を測ることもない」 A「もう、独りぼっちなどと思うなよ」 そう言うと、彼女は消えた。神衣を残して。 茫然とする耳に、「お焚き上げ」の説明を始める声が聞こえた。
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