プロローグ

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 アスファルトの駐車場に引かれた白線は所々はげ落ちて、くすんだネズミ色に変色している。そのくすんだ線のあちらこちらに、スケートボートのタイヤの跡もこびり付いていた。  駐車場の入り口には鎖が張られてはいるが、端の一部は車が一台通れるくらいに外されていた。陽のあるうちは子供達の遊び場になり、陽が落ちた辺りから深夜に至るまでは、ヒップホップのダンスグループやらスケーターの若者達が、その場を支配していた。  住宅街からは少し逸れ、繁華街にはほど遠く、駅までにはバスの停留所をいくつも数えなければ為らなかった。それでも郊外らしく広い駐車場を有して、その場には以前、イタリアンレストランが商いをしていた。
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