着手

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 強化ガラスの自動扉を抜けると、空調のほどよく効いたロビーが広がっていた。  二階まで吹き抜けられた天井は高く、何処ぞのデパートを想わせるエスカレーターが上の階へと続く。足下には、靴底が沈み込むほどに絨毯がひき詰められていた。  一面ガラス張りの壁が、外の景色をまるで絵画のように見せている。カフェテリヤも併設し、一見したなら都心のホテルのようだ。  整然と並べられては いるが、長椅子などではなく、ひとつひとつが独立した待ち合い椅子は、座り心地も良さそうだった。 『初診』『入院』『会計』などと記された事務カウンターがなかったなら、ここが総合病院の1Fフロアだとは、とても思えぬ光景だった。
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