68人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ
強化ガラスの自動扉を抜けると、空調のほどよく効いたロビーが広がっていた。
二階まで吹き抜けられた天井は高く、何処ぞのデパートを想わせるエスカレーターが上の階へと続く。足下には、靴底が沈み込むほどに絨毯がひき詰められていた。
一面ガラス張りの壁が、外の景色をまるで絵画のように見せている。カフェテリヤも併設し、一見したなら都心のホテルのようだ。
整然と並べられては いるが、長椅子などではなく、ひとつひとつが独立した待ち合い椅子は、座り心地も良さそうだった。
『初診』『入院』『会計』などと記された事務カウンターがなかったなら、ここが総合病院の1Fフロアだとは、とても思えぬ光景だった。
最初のコメントを投稿しよう!