プロローグ

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 ドライバーズシートを倒し込み、スマートホンの電源を入れた。いつもチェックしているサイトを開き、山波は人指し指を動かす度に、にんまりと微笑んだ。 「単純な奴らだ」  山波は二、三のコメントを書き入れるとそれを助手席に放り出し、目を閉じた。 ーーあと一時間で終わりだ。  丸半日ハンドルを握り、残りの半日を睡眠と自由時間で過ごす。一日二十四時間をその繰り返し。週に一度か二度の休みを挟み、月に二十四日のシフト勤務。  売り上げに応じて50~60%がドライバーの取り分で、賞与も退職金も無い歩合制。それがタクシードライバーだ。会社によっても待遇はまちまちだが、この地区のドライバーの処遇は大方こんな物だった。
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