いのち の 色

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いのち の 色

「今日もかいてるの」  お母さんが、美佐子に話しかけた。 「きれいな、お花ね」  美佐子は、お母さんがいつも褒めてくれるから、寂しくなかった。  赤い色鉛筆で、お花をかいた。  オレンジの色鉛筆で、そのまわりに小さなお花をかいた。  緑色の色鉛筆で葉っぱをかいた。  青い色鉛筆でお空をかいた。  お父さんに見せるため、いっしょうけんめい絵を描いた。  それを、お母さんが褒めてくれるから、美佐子は、お父さんが家にいなくてもさみしくなかった。  お母さんが、美佐子を抱きしめた。  ギュッとしてくれた。 「今日も、お父さんのお見舞いに行くよね?」  美佐子は、暖かさにつつまれながら、お母さんを見あげた。 「そうね。洗濯物をたたんだら、いこうね」 「うん」
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