苦しさと優しさと愛しさ

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「はぁ、はぁ……で、野暮用ってのはそれか? 人の金をふんだくる事か?」 ツッコミ疲れが出てきた。 ヤンキー座りで前傾姿勢になり、悪態を吐いている。 ベッドの上で。 「あー、違う違う。これはギャグだ」 「ぶっ飛ばすぞ」 「本当はこっちだ。まぁ、野暮用と言っちゃうと可哀想なんだがな」 「ん、可哀想?」 何が可哀想なのか。 つまりどういう事なのだろうか。 「ほら、こっちだよ」 レビンに連れられておずおずと姿を見せたのは、小さな女の子。 年端もいかず、まだ自立も出来なさそうな女の子だった。 そんな女の子を、何故連れてきたのか。 「このお兄さんが、強い強いハンターさんだよ。頼りになりそうでしょ?」 「はうぅ……」 「あぁん?」 「ひあーん! ヤンキーさんですぅーっ!」 ラヴィードを紹介された女の子はゆっくり顔を上げ、ラヴィードを見た。 その瞬間に号泣。 ラヴィードは深く傷ついた。 ヤンキー座りのまんまだったラヴィードも悪いのだが。 「まぁ、見た目だけで言えばそうなるわな」 「顔が良いヤンキーなんて、一番質悪いタイプだもんね」 また傷心のラヴィード。 マーシャルのフォローが無かった事が、何よりきつかった。 そして女の子は、一頻り泣いた後…… 「ひっく、ごめんなさい……お兄さん、よく見たら悪い人じゃなさそうです……」 「理解してくれて、お兄さんは嬉しいよ。で、俺に何の用かな?」 「はい、あの……私のママの、仇を取ってほしいのです!」 「……え?」 何とも不穏な頼み事を、ラヴィードに申し出てきた。
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