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「…………」
ラヴィードは暗闇の中、一人で浮いていた。
いや、浮いているのか?
それともこれが着地している状態なのか?
それすら、曖昧になっていた。
だが、ラヴィードはこの謎の空間に放り出されていても、別段慌てている様子はない。
この光景に、既視感を覚えているからだ。
「(思い出した、この空間……前はいつだったっけ? 確か、ウンディーネと戦った後……だったっけかな)」
すると。
=やぁ。また会ったね、ラヴィード=
暗闇の中から、聞き覚えのある声が響いた。
突然どこからともなく響いてきたが、ラヴィードは特に驚いていない。
聞こえてくるだろうと、心の準備が出来ていたからだ。
「よう。会ったっつーか、あんたは光の球体じゃねぇか。俺側の認識は浅いぞ」
=それもそうか。それにしても、もうこの空間に慣れちゃったのかい? 張り合いが無いなぁ=
顔は分からない。
妖精のように、光100%だからだ。
それでも、声で"つまらない"と言いたそうな雰囲気は伝わる。
「知らねぇよ。てか、幾つか質問があるんだがよ」
=ま、こんな摩訶不思議な空間にいて、無い方がおかしいよね。どうぞ=
「あんた、何者なんだ?」
=…………=
確実に訊いておきたい事。
こんな状態で干渉出来るこの光は、一体何者なのか。
果たして、光が答える回答は……
=いずれ分かる時が来るよ=
「んっだよ、それ」
何とも、曖昧なものだった。
聞きたかった答えとは大分違ったが、ラヴィードも何となく分かっていた。
どうせ、そう簡単には答えてくれないだろうと。
=って、僕は濁したけど……本当は、もう分かっているんじゃない?=
「…………」
が、光はラヴィードの本質を見抜いていた。
ラヴィードが余裕ぶって苦笑いをする時は、実は何となく答えが分かっている。
本当に分からなければ、何度も食い下がるのがラヴィードという少年。
それを理解しているが為、ワンクッション置いてからかったのだ。
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