苦しさと優しさと愛しさ

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「勇者……だろ?」 =ん、ご名答= 「散々、勇者という存在に惑わされてきたからな。嫌でも勘づくっての」 =そう、僕は勇者だ。500年前の災厄を防いだ、伝説になっちゃってる"あれ"さ= 何ともあっさり、ラヴィードがずっと追い求めていた答えが現れた。 レヴァンで黒コートの男に魔王の邪魔呼ばわりされ、そこから始まった"答えを追う旅"。 その答えが、目の前にいる。 「でも、また分からねぇ。なんで、お前は俺とこうして会話してんだ? 俺と勇者って、何の関係があるんだ?」 =…………= 「お、おい? だんまりかよ?」 =お呼びだよ= 「え?」 話の深淵を語る事を、はぐらかされたのか。 と思いきや。 「ラヴィード君! ラヴィード君、起きて!」 会話に割り込むように、マーシャルの叫びがラヴィードへ届いてきた。 「マーシャル……」 =目覚めてあげた方が、彼女の為じゃないかな?= 「くそ……あぁ、分かったよ。次に持ち越すってんだな?」 =聞き分けが良くて助かるよ= 食い下がるとは言ったが、これ以上仲間を心配させる訳にはいかない。 仕方無く諦め、ラヴィードは目覚めの準備に入った。 =最後に言っておくよ= 「あ?」 =僕は、間違いなく君の味方だ。力にはなってあげるけど、使い所を弁えてね?= 「けっ。勇者が敵であってたまるかよ」 力とは。 それも訊こうとしたが、もう遅くなってしまった。 ラヴィードの意識は、ゆっくりと目映さと共に現実の世界へと戻っていった……
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