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「ん……」
ラヴィードが目を覚ましたのは、柔らかいベッドの上だった。
内装を見渡せば、そこは宿屋のよう。
「ふぅ……次なんてあるのかよ……」
頭を掻き、先程の内容を鮮明に思い出すラヴィード。
異変があるとするならば、以前とは違って記憶がある事。
だが、特にそれを気にする様子は無かった。
そして、その様子を横でずっと……
「あわわ、はわわ、ほわわわ……」
マーシャルが、体全体をわなわなさせながら見ていた。
「おっ、マーシャル。おはよう」
「ふわわわわ……」
「どうしたんだよ? そんなすっとぼけた顔しちm」
「ラヴィードくぅーん!」
「どわああっ!?」
台詞の途中で、マーシャルはラヴィードに飛び付いた。
完全なるハグ。
羨ましい。
喜びが爆発しまくっているようで、マーシャルはラヴィードの胸部に顔を埋めっぱなしになっている。
「ちょっ、マーシャル!? くっつきすぎだって!」
「ふえ……あっ、ご、ごめんなさい! その、えと、勢い余っちゃって……」
「い、いや、別に良いんだけどさ……」
ラヴィードは、こう思っていた。
"しまった、もっと女の子特有の柔らかさを味わいたかった……"と。
マーシャルは、こう思っていた。
"勿体無い、もっとラヴィード君に抱き着いておけば良かった……"と。
お互い、離れておきながら"やっちゃった"と思っている。
ラヴィードは男の子故に。
マーシャルは、好きが故に。
少しばかりベクトルは違えど、考えている事は共通だった。
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