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「て、ていうか、"どうしたんだよ"は無いんじゃない? こういう状況なら、何となく分かってるでしょ?」
「……! あぁ……俺、また暴走しちまったんだな。で、それをまたマーシャルが……」
「……ん」
これも、嫌でも勘づく事。
暴走状態になり、またもやマーシャル達に多大な迷惑を掛けてしまった。
ラヴィードの中に、罪悪感がチクリと顔を出した。
「情けねぇな……マーシャルを守るって言ったのに、またこんな事になっちまってる。ごめんな、本当……」
「……大変なのよ、ラヴィード君を止めるの。今回なんて、全員で掛かったもん」
「遂に全員に迷惑掛けちまったか……何て言えば良いんだよ、マジで……」
「ラヴィード君、強すぎるわよ。そりゃこっちも疲れちゃうし」
言葉を発する度、胸が痛くなる。
自分の言葉とマーシャルの言葉が突き刺さり、自然と体が丸くなっていく。
いつの間にか、悔しさで歯を食い縛っていた。
「自分で言った事を、自分で反故にしちまってるじゃねぇか……顔向け出来ねぇだろうが、こんなの……」
「うん……そうだね」
「……っ!」
何よりも、マーシャルの言葉が痛く食い込んでくる。
守りたいと言った相手。
突き放されても仕方無いと、遂にラヴィードの目に涙が浮かんできた。
すると。
「でも、私達は分かってるよ」
「え、何が……わぷっ!?」
マーシャルがラヴィードを自分の方に引き寄せ、慰めの抱擁をした。
先程の勢いに任せたハグではない。
まるで聖母のように慈愛に満ち溢れた、優しくふんわりとした抱擁。
一瞬赤くなったラヴィードだが、すぐに安心の表情へ変化させた。
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