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「あ、あ、」
佳代は言葉が出なかった
絶望にうちひしがれた
まさに死を目の前に突き付けられたような感覚に襲われた
「佳代か、お前の素性は碧から聞いたよ
ひどいやつだな、お前」
見るだけで人が殺せるのではないかと錯覚させるような冷たい目線を向けた
「い、嫌
死にたくない」
佳代は腰がくだけて立てそうにない
「碧にしたむくいはお前が碧本人から受けろ。ここでは殺さねぇ」
それだけ言って拓哉は去っていった
背後をとることも出来たが、体に力が入らなかった
「は、ははっ、何なのよ、一体」
力の入らない体を震わせて佳代はほっとしたのと同時に絶望が増した
「碧が、私を、殺しに来る。い、嫌、まだ、死にたくない」
頭を抱えながらうなだれた
そして、ふと、ある考えが頭をよぎった
「そうよ、向こうは殺すつもりで来るんだから、こっちも殺す気で行けばいいんだ
そうよ。殺すことに犯罪性を問われないんだから、殺してもいいんだ
あ、あはっ、あははっ、あははははははははははははははははははは!」
誰もいない廊下、佳代の高らかな、狂気に満ちた笑い声が響き渡った
そして佳代の目には、もはや殺意以外の感情は無かった
「碧、あんたを恋人の元に送ってあげるわ!
感謝しながら逝きなさい!
ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
「修一には会いたいけど、約束破っちゃう事になるから結構よ」
佳代は振り向いた
そこには、クロノナンバーズNo.3
佳代とはかつての友人、今は復讐の対象
水無月碧が、そこにいた
「あんたが大きな笑い声を出してくれたおかげで予想以上に早く見付かったわ
佳代、あなたはたくさんの人を絶望に追い込みすぎた
そのむくい、受けなさい」
「ふふっ、殺れるものなら殺ってみなさいよ!」
二人は同時に銃を抜いた
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