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体育館の裏から歩を進めた佳代は
「誰もいないわね」
誰もいないのを確認してから玄関から校舎内に入っていった
「それにしても、何なのこの緊張感」
佳代は当然の事ながら人を殺すのはもちろん、戦場何てものは初めてだ
次の瞬間には自分は死んでいるかもしれない
次の瞬間には自分は人を殺しているかもしれない
そんなプレッシャーが重圧となって佳代の上にのし掛かる
「碧はこんなの慣れてるのね」
零夜がホテルで言われたものと同じ説明を受けていた
すなわち、碧が戦闘中に参加しているのを知っている
「はぁ、私が一番不利じゃない」
大きな溜め息と共に、あきらめの混じった声を出した
そう言いながらいつの間にか教室の前まで来ていた。頭上の札には1-Aと書かれていた
「弾丸でもあるかしら」
そう言いながら机の中を探した
「あ、あった」
佳代は机の中にあった弾丸を取った
それをしまって教室から出た
同じ場所に居続けるより移動した方が安全だと思ったのだ
「はぁ、はぁ、はぁ
どうしよ、めちゃくちゃ恐いかも」
たいして激しい動きもしていないのに、佳代の息は上がっていた
それほどまでに佳代の受けているプレッシャーは大きいのだ
今ならば何を言われても信じきってしまうくらい佳代の精神は衰弱しきっていた
詐欺師が騙されると言うことはそのまま、その詐欺師の死を意味する
佳代は今はあまり考えていない、いや考えたくないだけだが、心のどこかでは
死ぬかもしれない
そう思い始めていた
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