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「ここよ」
連れられ来た場所は、祭りの場所から外れにある七夕飾り。毎度、変わったことをする彼女に慣れていた。でも、日々楽しむことを心掛けている彼女が、祭りよりここに来たことに驚きを隠せない。
「祭りに行かないのか?」
「行くわよ。浴衣着ているのに。綿あめにイカ焼きとたこ焼き食べて、ヨーヨー釣りと射的は必須よ」
予定を聞いて、尚更祭から外れた場所にきた理由がわからない。彼女は七夕飾りを熱心に見ていたが、ある場所で視線がとまる。
「あった!」
嬉しい声を上げて笹に手を伸ばす。風に揺れる吹き流しに手を入れ、何かつかむ仕草をして引き寄せ胸元で開く。
覗き込めば、掌に収まる巾着の飾りもの。
「ばーちゃんお手製の飾りは、ご利益あるんだ」
笑顔で持参したかごバッグにしまう。
「さあ、祭りに行って当てるぞ!」
宣言する彼女は、文字通り戦利品を手に入れてご満悦だった。
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