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思った途端に愛情は皆無となり、私の中に産まれた憎悪。
鈍い痛みで重くなっているはずの身体は立ち上がり、彼の股間を蹴り上げた。
その後の事はよく覚えていない。
気が付いたらキッチンにあったはずの麺棒を握りしめていて、彼を殴り倒していた。
そうか…長年の男運の悪さで培ったのは疑心暗鬼だけじゃなかったんだ。
寧ろ、こんな男に性懲りも無くひっかかったんだから疑心暗鬼はあまりうまく育たなかった。
培ったのは、窮地に立った時の腕っ節の強さ。
虚しかった。
私の人生は一体…。
自分の目の前でうずくまり声も出せずにいる彼を『抹消したい』とまで思ったけれど、尚も傍らで泣き続けている赤ちゃんを抱き締め自分を取り戻した。
…こんなクズ野郎を始末した所でこの子を守れはしない。
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