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ハチの遠慮(?)も聞かず、わたあめ姫が指揮者の棒のような物でクルッと円を描くと……
ほわらららしゃら~ん♪
「……ヌコリン。なんか毛羽立ってるプギ……」
「チャーコこそ、体がうっすらパステルな虹色になってるニャ……」
「あ、ハチ。……アフロ」
「…………」
雨の精霊わたあめ姫。
彼女はその【ふわりんタクト】で、全てのものを『なんとなくふわふわな感じ』にしてしまう能力の持ち主である。
その時、玄関ドアが乱暴に開く音が聞こえ、カイがリビングに飛び込んで来た。
「ただいま! なあ、すっげぇの見たぞ俺。仕事で、今話題の画家の個展に行かされたんだけどさー!」
「あれ? 帰ってくんの早いねカイ」
「だから絵の個展に行って、今日は仕事終わり! ほら、これ見てくれよー」
カイがアタチたちの目の前に突き付けたのは、一枚のチケット。
「ん? ……躍動する命……絵画の底力に震撼……?」
「プギ? ホマレーヌ清水画伯個展、【パッションPASSION】……?」
「マジ、すげぇの! 猿もコンドルもヴィーナスでさえも、見た瞬間ブン殴られたような衝撃を受けるんだ! 号20万はくだらないって話で……」
「行っといで、チャーコ。長くなりそうだから」
「はーい」
アタチたちは、めんどくさいモードのカイをハチに任せ、毛タマを持って外へ出たのだった。
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