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「次、二回戦ですふわ! えーい!」
わたあめ姫がヌコリンから毛タマを取り上げて、空高く放り投げた。条件反射でアタチたちはソレを追って宙に舞う。
「ニャリーーン……!」
「プッギーー……ッ……!」
空中で交錯する負けられない思い。
今度はアタチの鼻先の方が0,02秒早かった。
「もらたプギーー!」
華麗に弾いた毛タマが、流れ星のように……知らないお家の塀を越えて庭に消えていった。
「…………」
「…………」
シュタッと、黒ネコとコブタが同時に地面に降り立つ。
「チャーコちゃんの勝ちほわ」
無情な判定がアタチにどすんと圧し掛かる。
「いっ、今のはヌコリンの前足の動きの方が可愛かったプギ! だからヌコリンの勝……」
「チャーコよ、完敗だニャ。……だからチャーコが毛タマ取って来るニャリ♪」
「……プッ……!」
アタチは仕方なく、毛タマが消えた知らないお家に一人で向かった。
(やだなぁ……怖いおじさんが出て来て怒鳴られたらどうしようプギ……)
かといって無断で庭に入り込むわけにもいかない。
意を決して、玄関ドアをヒヅメでコンコンとノックした。
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