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僕の隣
君がいなくなって、僕の心だけが置いてけぼりのまま、周りは進んでいって。
それでも、僕の時間も少しずつ動き出した。
5年ぶりに訪れた七夕祭りは、相変わらず沢山の人で賑わっていて。
君と2人で歩いた参道を、記憶を辿るようにゆっくりと進んでいく。
あの頃と同じように飾られた、色とりどりの笹の短冊を懐かしく感じて、じっと眺めてた。
突然強い風が吹いて目を閉じる。
目を開けると、揺れる笹の向こう側に君が立っていた。
君も気づいたようで、驚いた顔で僕を見ていて。
「…久しぶり。」
「…うん、5年ぶりだね。」
「ねぇ、願い事は叶った?」
「うん。あなたの願い事は?」
「多分…叶ったよ。」
「あの場所で花火見ようよ。」
「そうだね、行こう。」
互いに笑い合って、手を繋いだまま花火を見ていた。
ネガイゴトはただ一つ。
君と、ずっと手を繋いでいられますように。
END
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