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「あぁー、あそこに貴重な端麗黒髪メガネ浴衣男子が」
「ちょっと、姉貴。一人でつっぱしったらまた迷うよ」
俺のことなんて眼中にないように、人混みの中見知らぬ男を追いかけた。
「ここにもいますけど」
ぼっそといじけながら仕方なく後を追う。
姉さん、俺が視力いいのに天然じゃないと萌えないと言うからわざと暗いとこでスマホみたり、勉強したりしてメガネかけたり、今日だって慣れない浴衣なのは全部姉さんの好みになりたいからなんだぜ?
端麗じゃないかもしれないけど他の女子には結構この顔、人気だし身長もある。体型にも気を付けてるし…
いつもは静かな場所なのに、彩られ今日は色めきだち輝く。
人々が短冊に想いを込める。
いつもなら女子らしい格好を嫌がるのに、うきうきと浴衣姿の姉貴に息を飲み、鼓動が速まった。
姉貴の一挙一動に俺はこんなにも魅力されているのに…
この恋叶わなくてもいつまでもそばに…
強く願った。
「待てよ、姉貴」
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