ファンシー

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「さあ頭の中を覗いてみましょう。どんな夢を見ているのかな。おっと、これはまたいやらしい。下半身の中心部分を、はあ、癖でしょうか、何回も上下に平たい手が動いてます。何を想像しているのか一目瞭然だな。この男の様子を後五分だけ見るかそれとも男の頭の中を覗くのか、あなたは選ぶことができます。どちらも選べないと困惑しているあなたには一つヒントを与えましょう。何馬鹿なことを言っているんだと思っているあなた!考えていることは筒抜けですからね、くれぐれも気を付けてください。今、分かりました?ははは!そう、実はあなたの頭の中をあなた自身が旅行するプログラムも用意してあるんです。いかがです?」 何だろう、この怪しい人。でも当たってる。ただの宅急便のおじさんじゃない。超能力者?いや、違うわ絶対。 「いいえ、お嬢さん。私はある意味では超能力者なのです」 しまった、考えるな。考えるんじゃない! 「困ったなあ。もう考えるなと言っている時点で考えているんですよ。分かります?今更帰れなんて言わないでくださいよ。こっちも商売なんですからお金をくれないとねえ」 「いくら欲しいの?」 「この段ボールに貼ってある請求書の額をいただければ結構です」 「ここにサインすればいいの?」 「はい、そこです。ありがとうございます。では再確認いたします。コースはあなたの欲求がテーマということでよろしいですね?」 「そう」 「では段ボールを開けてください」 「は?」 「我が社の催眠マスクが入っております」 「頼んだのはTシャツだけど」 「もちろんあなたの望んだものも入っています。ですが今大事なのはマスクをつけて眠っていただくこと。私はあなたのいわば運転手です。目的地へとしっかり責任を持って誘導して楽しんでいただく。これが我が社のコンセプトになります。基本的にはあなたの見ている夢を観察してはいますが干渉することは一切できませんのでそこは注意してください。良いですね?」 「なんか病院にありそう」 「つけてください。時間は三十分です」 ああ、でも楽しみ。彼と映画にでも行きたいな・・・・・・。
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