神を語る殺人者

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聖メルリアス教会は、この国でも歴史ある教会の一つとして数えられている。 設立されたのが古いためでもあるが、何より世界初のエクソシストがこの教会の修道士であったこともある。そのため、世界各国からエクソシストになろうとしてこの教会へ来る者も多い。しかし、この教会はエクソシストを養成しているわけではない。普通の教会と何一つ変わらない。ただ、世界初のエクソシストがこの教会出身だったというだけだ。 そのエクソシストには元々そのような性質が備わっていて、たまたま生まれたのがこの街だったというだけで、教会側にしてみればいい迷惑である。 今はそんな事はないが、昔は修道士にしてくれと願う者が後を絶たなかった。しかし当時の神父は、エクソシストに憧れてこの教会に来た者は一切受け入れなかったそうだ。 「当時の神父は、さぞ恨まれたでしょうね」 そんな感想を持って彼は教会へ入って行った。 「すみません、ロスカロス神父はいらっしゃいますか?」 「あぁ、お待ちしておりました」 教会のベンチに座り、祈りを捧げていた人が振り向いた。 歳は五十代半ば。やや痩せ気味で、顔に出来たシワが威厳というか、怖さというか、他を圧倒する雰囲気を醸し出している。白く色が抜けた髪は、きっちりと後ろに撫でられている。 敬謙なクリスチャン。 まさにその通りだ。 「お初にお目にかかります。聖メルリアス教会、第三十三代目神父、ルーデン・ロスカロスです」 「ご丁寧にありがとうございます。中央都市、ルディンの聖アルミス教会から来ました。ユーゼフ・スリンスです」 ユーゼフ・スリンス。 彼はそう名乗ったあと、周囲に人がいないのを確認して、ロスカロス神父にだけ聞こえるような小さな声で付け足した。 「聖アルミス教会、対ヴァンパイア部隊、エクソシスト部門より派遣されました」 ロスカロス神父は厳しい顔をして、小さく頷いた。 「客人をいつまでも立たせるわけには参りません。奥へどうぞ」 スリンスは促されるままに教会の奥へと進んだ。 案内された場所は、神父やシスター達の休憩室だった。 「おかけください」 「失礼します」 向き合う形で座り、しばしの沈黙。その後、ロスカロス神父がため息の後、話し出した。 .
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