イチハウソ wanna build our future

13/19
前へ
/20ページ
次へ
あれから何度も理科準備室に行ったけれど、先生には会えなかった。 (絶対に避けられてるよ) でももう一度だけ二人で話をしたい。 話をして自分の気持ち伝えたいな。 先生…大好き…。 今日は、先生が理科準備室に入るのを見たのに、 ノックをしてもドアは開かなかった。 「嘘…でしょ…」 私はドアを睨みつけた。 「Please,I know you’re in there」 おねがい、ここにいるんでしょう。 もう一度ノックをしたけれど、やっぱり返事は返ってこなかった。 私の勘違いだったんだ。 抱きしめてくれた温もりも、 私の勘違いだったんだ。 先生と両思いだと思っていたのに。 「せんせえ、だいすきだよー」 理科準備室のドアに背をあてて、ズルズルとしゃがみ込んだ。 今まで我慢していた涙が、ハラハラと流れた。 「沙耶、こんなところでどうしたの?」 顔を上げると、カラオケ以来親しくなった明が、心配した顔を近づけて、私を覗き込んでいた。 「大丈夫?」 「……」 「行こうか」 明は私を引き上げて立たせると、大きな手で私の顔の涙を拭った。 「泣くな…俺じゃ…ダメか?」 私に辛そうに笑いかける明は、 きっと、何もかもお見通しなんだ。 「……ダメ」 「代わりにもなれないか?」 「……ダ…」 私が返事を言い終わる前に、明は私を抱きしめた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加