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あれから何度も理科準備室に行ったけれど、先生には会えなかった。
(絶対に避けられてるよ)
でももう一度だけ二人で話をしたい。
話をして自分の気持ち伝えたいな。
先生…大好き…。
今日は、先生が理科準備室に入るのを見たのに、
ノックをしてもドアは開かなかった。
「嘘…でしょ…」
私はドアを睨みつけた。
「Please,I know you’re in there」
おねがい、ここにいるんでしょう。
もう一度ノックをしたけれど、やっぱり返事は返ってこなかった。
私の勘違いだったんだ。
抱きしめてくれた温もりも、
私の勘違いだったんだ。
先生と両思いだと思っていたのに。
「せんせえ、だいすきだよー」
理科準備室のドアに背をあてて、ズルズルとしゃがみ込んだ。
今まで我慢していた涙が、ハラハラと流れた。
「沙耶、こんなところでどうしたの?」
顔を上げると、カラオケ以来親しくなった明が、心配した顔を近づけて、私を覗き込んでいた。
「大丈夫?」
「……」
「行こうか」
明は私を引き上げて立たせると、大きな手で私の顔の涙を拭った。
「泣くな…俺じゃ…ダメか?」
私に辛そうに笑いかける明は、
きっと、何もかもお見通しなんだ。
「……ダメ」
「代わりにもなれないか?」
「……ダ…」
私が返事を言い終わる前に、明は私を抱きしめた。
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