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春休み、引越しの準備も終わった。
来週には広島へ行く。
淳に、それで良かったんだよって言われたから、
これで良かったんだろう。
京都での最後の週末は、彼女との想い出を拾いに、嵐山へ一人桜を見に行くことにした。
阪急電車に揺られて、彼女と初めて会った時の事を思い出した。
外大生かな?くらいに思っていた。
何も知らなかったあの日にしっかり捕まえていたら、何かが変わっていた?
「変わるわけ、ないよな」
ポツリと呟き苦笑いをしながら、嵐山駅を出た。
あの時と違って、桜目当ての観光客でごった返していた。
彼女が雪だるまを作ったあの広場は、一面桜色だった。
「雪だるま作りてえ」
桜の木を見上げたその時に、
つむじ風が桜の花びらを巻き起こした。
一面、むせ返る程、桜の花びらが舞った。
花びらが沈むと、目の前には…君が…いた。
「嘘…だろ…」
頭の中が真っ白になった。
「Wanna build a snowman…」
気が付けば君は俺の腕の中にいた。
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