イチハウソ wanna build our future

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京の街並みに雪が降り積む。 冬の日本は特に美しくて好き。 「沙耶、学校で必要なものは、これで揃った?」 河原町通りをママと歩く。 「うん、大丈夫だと思う」 手に持った幾つかのショッピングバッグを軽くたたいた。 5年ぶりの日本。 当分、戻れないと覚悟していたのに、 アメリカから、まさかの帰国。 パパの急な転勤の話を聞いた時には、 「嘘…でしょ…」 ってママと二人固まったっけ。 「学校のことで、分からないこと無い?」 「うん。ホームページで調べたから、大丈夫」 一月から編入する学校は、どんな所だろう。 「沙耶の大丈夫は怪しいからなぁ。 ママはこれからお友達と約束があるけれど、ちゃんと一人で帰れる?」 ママは首を傾げ、疑い深い目で私を見つめた。 だったら、一緒に帰ってくれれば良いのに。 「大丈夫だよ。地下鉄に乗ればいいんでしょ」 「間違えて横の阪急電車に乗らないようにね」 そんなの間違えないよ。 いくら漢字に弱い私でも〈地下鉄〉くらい読めるよ。 書けないかもしれないけれど……。 「もう、ママは心配性なんだから。 友達との待ち合わせの時間に遅れるよ」 大きな交差点でママと別れて、地下鉄の駅へ向かった。 「まだ、お昼過ぎだし」 駅に着くと、ロッカーに荷物を預けた。 「嵐山までは……」 雪の京都を少し探検したくなって、阪急電車の運賃表を見上げた。
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