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今日は朝から雪が降り続けていやがる。
京都に住んで5回目の冬。
夏は暑いし、冬は雪降るし、住みにくいんだけれど、住むほどに何故かしら居心地が良くなる。
変な所だ。
『良太、今どこなん?』
七尾淳(ななおあつし)からのメール。
『電車。2時くらいに桂駅着』
今日は、淳の部屋に悪友が集まり鍋パーティをする。
一人一品持ち寄りなので、駅前のスーパーで白菜でも買っていこう。
『野菜は確保した。良太は肉を頼む』
俺金欠なのに…。
財布の中身を思い浮かべながら窓の外を見ると、雲間から射す光に、街が白く輝いた。
まぶしー。
目を細めたその時に、後方から流暢な英語が聞こえた。
興味本位に声をする方を眺めると、女の子が外国人観光客に何かを説明していた。
色白で小さな綺麗な横顔。
長いまっすぐな黒髪。
真の強そうな瞳の奥に、あどけなさが残る。
や、やべー。
ありえないくらいにドストライク。
「嘘…だろ…」
この歳にして、知らない女の子に、こんなに胸がドキドキして、苦しくなるなんて。
あわてて、窓の外へ視線を戻し、大きく息を吸い込んだ。
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