イチハウソ wanna build our future

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「知らない人に名前や連絡先教えたらいけないって、ママが言ってたからダメ」 散々雪遊びに付き合ったのに、彼女は名前すら教えてくれなかった。 「どうすれば、知っている人になれるんだよ?」 拗ねた口調で彼女に尋ねた。 「そうだね、うーん」 彼女は白銀の木々を眺めながら少し考え込んだ。 雪の白に溶け込みそうなほどに白い彼女の横顔を見つめた。 「例えばさ、私達が、また偶然に会えたら、それって知り合いだよね」 彼女はそう言って、ニコリと笑った。 俺はその表情に胸がキツく締め付けられて、心臓が止まりそうになった。 「また偶然に会えたら、その出会いに、私、運命感じちゃうよ」 「運命?」 「うん、その出会いが私たちにとって避けられないものだっていう運命。 だから、その時には、名前だって連絡先だって、伝えられると思う」 真面目な顔をして話す彼女は、苦手な問題を答える生徒みたいだった。 ……本当に生徒だったんだ。 あんなに逢いたかったドストライクの彼女は、 今まで避けてきた人、 触れてはいけない人、 「嘘…だろ…」 俺は席に着く彼女を見つめて小さく呟いた。 彼女は俺の生徒。 ……俺は彼女の先生。
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