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香織の仕切りでサクサクと出場メンバーが決まっていく。
「あと決まってないのは、騎馬戦と最後の男女混合400Мリレーね」
騎馬戦は女子が上に乗り、男子が3人で馬を組む。
多人数が必要なのに男女ともから人気がないのは、中学生には若干の気恥ずかしさを感じさせるせいか。
混合リレーに人が集まらないのは、得点が高く、体育祭の一番の見せ場になるので、
そこに立候補するには多少の実力を伴った度胸が必要なのだろう。
「そういえば結城、あんたは?」
香織が聞くのでリュウは困ったように首を振った。
決まったメンバーを登録票に記入することに必死で、手をあげているヒマがなかった。
日本の漢字は、今だにちょっと苦手だ。
「じゃ騎馬戦ね」
安心して、と頷いた。
「私も出るから、私と組もう」
文句も言えない。
「男女混合リレーは立候補がひとりもいないのね。うん、じゃ実行委員から推薦します。女子はクレナと陸上部のゆみちゃん。男子は安西と……」
人選が適正だったせいか、パラパラと賛同の拍手があがる。
指名された三人も照れた顔で頷いた。
「ええと、あとひとりは」
今は誰も座っていない机を見やった。
「重永和巳くんに、お願いしてみよっか」
問いかけるような香織の言葉に、全員が欠席の机を振り返る。
この机の主は、夏休みが明けてから一週間、まだ一日も登校していない。
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