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まただ、また幻聴が聴こえる。
【死ね、貴様など生きる価値のないゴミだ】
やめてくれ、これ以上苦しめるな。
「加賀見ウツルだろ?苦しそうだね」
目の前に同級生の女子が立っている。
髪は漆黒、瞳は何かを探すようにうつろ。
彼女は僕の座っている中庭のベンチに腰をおろした。
「あたし、死ぬんだってさ」
無言、そんな事は今の僕には関係ない。
僕が中庭のベンチから立ち上がる。
にわか雨のようなポツポツと雨。
僕はにわか雨に打たれた。
死ぬんだってさ、本当に死ぬって地獄のように苦しいぞ。周りの生徒達は僕を狂人扱いしている。
死ぬならさっさと死ね。
僕には関係ない。
後ろから誰かに抱き締められた。
涙と雨が僕の背中を濡らす
邪魔くさい。
「死ねよ、死ぬなら今すぐ死ねよ。だって本当に死ぬならば」
「死が二人を別つまで」
それはキリスト系のこの学校でよく噂になる告白だ
七不思議と同じで
死が二人を別つまでという相手からの告白に同じ答えを返すと二人は永遠になれるという怪談の類いだ。
だけど僕は無意識に呟いた
「死が二人を別つまで」
これが全ての始まりだ。
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