クリスマスの奇跡

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クリスマスの奇跡

その朝、というか昼過ぎになってから、秋場高広はひどい頭痛と共に目が覚めた。 「――ってー……」 右手の親指と薬指で左右のこめかみを覆う。 そのまま強くぐりぐりと揉んでみても、痛みは一向に治まってくれる様子はない。 そういえば、夕べはしこたま飲んだのだった。 明日の聖夜は仕事漬けになるからと、いつものメンバーで一足早いクリスマスパーティが開かれた。 同居している宇堂保とぷのとかも太と、秋場家に入り浸りのみゆきとその友だち、それに何故か近所の女性たちまで。 まあ、招いたというより勝手に押しかけてきたのだが。 「おい保、痛みどめどこに――」 呼びかけてから、 「――」 そういえば、家の中には、もう誰もいないのだと思い出す。 聖なる日の今日。 経営している店の準備のために、昼前には出ると保が言っていた。 「そのまま夜通しになるだろうからね。ぷのとかもを留守番させるわけにもいかないし、一緒に連れてくわ」 とも。 ベッドから起き出して顔を洗うために歩いても、シンと静まり返った家の中は、旅先で目覚めたホテルの部屋みたいな違和感がある。 不自然な静けさ。  ――寒い。 キッチンへ行ってコーヒーメーカーのスイッチをいれたら、テーブルの上に、保が用意していってくれたらしいサンドイッチがあった。
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