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「ここでは、無理をする必要はありません」
傍らに立つ春一さんを見あげれば、春一さんは穏やかに、ふんわりと咲いているハナモモの花のように微笑んでいる。
「あいつらを見て笑ってください。何があったかは知りませんが、あなたが自分を哀れんでいるなんて、時間がもったいない」
「え?」
「綺麗、ですから」
春一さんはもう一度顔をあげて窓の外を見た。
視線の先には、満開に咲き誇るハナモモの花。
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