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すると、
「お姉さん、どこから来たの?」
弟の方が明るく笑って声をかけてきた。
私は愛想笑いを浮かべながら、
「ここ綺麗な場所だね。この木はハナモモ?」
話をはぐらかそうとしたことに気づいたのか、秋哉と呼ばれたお兄さんの方が、キツイ目付きで私を睨んでくる。
弟の冬依くんが、乱暴にお兄さんの足を踏んづけた。
「うん。この辺のハナモモはみんな源平桃(ゲンペイモモ)っていう木だよ。それよりお姉さん。ボクん家、あっちで喫茶店やってるんだ。良かったら寄ってって」
軍手をはめた手で村の方を指さしながら教えてくれる。
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