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誰しも一度は思ったことがあるのではないだろうか。
過去に戻りたいだとか、あの頃の自分は嫌だったとか、あの子に告白しておけば良かったとか。
そう、人というのは過去にすがりたがるものなのだ。僕も含めて__________。
緊張、高揚の春が過ぎさり、湿ったアサガオを見ることがなくなった初夏。一年ぶりの夏にみな、暑さ、熱を思い出す。
うちわを持参する生徒が増えてきたようにも見える。
「はぁー...」
校内に広がった冷房の涼しさに思わず、声がでる。僕は働き蟻のようにせっせと自分の下駄箱に足を進ませる。
僕は今年で二年になる高校生だ。二年生になって早くも3ヶ月が過ぎる。
普段から害虫のように騒ぐ連中も落ち着きを取り戻す中間地点。この時期でようやく。。。
ゴンッ!!.......
後ろから叩き飛ばされる。おそらく、鞄が後頭部に当たって....
「おい!細田安男(ホソダヤスオ)!」
確認しようと後ろを振り向いた瞬間、肩に太い二の腕を乗せてきた。
確認しなくても分かるコイツは害虫の1人
山田烏丸(ヤマダカラス)だ。
さすが害虫だ。暑さごときで、ひよったりなんかしない。
「死ぬか、金よこすか、どーする?」
「ボソッ(いっそう。。。殺してくれ。。。)」
死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。
誰にも届かない。心の聲。
助けてよ。誰か。
朝から死にたくなる。
こんなのは不公平だよ。
「あぁ?何言ってんか分かんねぇよ。クズ。」
「お金。。。」
下を向いたまま、僕は呟く。
「分かってんじゃねーの!ほら、よこせ。」
僕の鞄から素早く財布だけを抜き去る。慣れた手つきだ。
毎朝毎朝、これほど金を回収していると財布の場所まで分かるのか。
害虫は3000円ほど抜き去って財布を床に落とす。
「ご苦労さん。。。」
そう呟くと後ろを向いて歩いていった。
そして、僕は黙って床に落ちたボロボロの財布を拾った。
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