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気だるい足を運ばせて、自分の教室に進む。足枷に繋がれているような感覚に襲われる。
行きたくない。
僕を見て壁が笑っている。笑われるのは慣れた。綺麗に並べられている下駄箱の林を真っ直ぐに抜けて、階段の崖に差し掛かったところ。
立ち止まって少し考える。
__________僕の強みって何だ?
学校行って、金とられて、勉強して、家帰って、飯食って、風呂入って、寝る。
その繰り返し。
学校に行って学ぶことよりも他にもっと学ぶべきことがあるんじゃないか?
ここにいる意味って?
学校に行かなくてもいいじゃないか。
床が沼のように淀み始め、俺の足元を沈めていく。このまま、帰りたい。
ただ、切実に。
あぁ、このまま沈んでく。
「おい、いきなり立ち止まらないでくれる?」
急に後ろから声をかけられて、ビクつく。
っひ!と声に出して振り向く。
そこには180㎝を超えた高身長のイケメンがいた。
美人な幼馴染と妹を兼ねそろえた、スポーツ万能、頭脳明晰、少女漫画にいてもおかしくない完璧なキャラクター。
その名も「島田光世(シマダコウセイ)」
この物語の”主人公”だ。
彼は匂いの強烈なゴミを見るように、僕を見つめ返した。
僕を人として見てくれる人がこの学校の生徒には誰一人としていない。
一人は空気、一人は幽霊、一人はゴキブリ、一人は…
誰が僕の気持ちに気付いてくれるのだろうか。
僕は黙って、端による。
ほうきで掃かれたゴミくずのように。
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