1 幼なじみ?

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本当は怖くてたまらなかった。 拳を血に染めながら容赦なくユキを傷つけ、 でもそんなこと一向に気にする風もなく、くったくなく笑う貴明の笑顔が。 「こんでチィにちょっかい出すやつも減るだろ」 貴明はニカッと笑うが、 「そんなんじゃないよ」 あたしはうなだれながら答える。 驚いたことに、あの『ユキ』が人づてにあたしにメッセージを寄越した。 「また良かったらライブに来ませんか? チケットあります」 ユキのライブチケットはいつもソールドアウトだと聞いていたけれど、 今回、残っちゃったのだろうか? それとも新規の客を放したくないだけ? あたしのクラスまでユキにバレていることには驚いたけれど、昨夜のライブには同じ学校の子が何人か来ていた。 ユキがその気になれば、あたしがどこの誰かなんて、すぐにわかっただろう。 でもあたしは、 「行けないから」 と伝言をくれた子にそう断った。
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