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こんなことになるなんて思わなかった。
きっと耳をそばだてている貴明の気配にビクつきながら、あたしはその伝言の主が早く帰ってくれることをひたすらに願う。
だけど、
「話があるんだって。ユキが屋上で待ってるよ」
あたしより先に、貴明が屋上に向かって走り出す。
あたしは慌てて後を追った。
悪い予感ほど、当たる。
屋上には、ユキだけではなくて、何故か男ばかりが4人もいたのだけれど、
貴明はあっという間に、みんなぶっ飛ばしてしまった。
そして、
「チィに手ぇ出すやつは許さねぇ」
と自慢気に笑うのだ。
「手なんか出されてないよ」
あたしに出来るのは、ヘタな弁解だけ。
こんなにボロボロにされた後では、なんの弁明にもならなかったわけだけれど。
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