1 幼なじみ?

10/10
前へ
/51ページ
次へ
しかし、  ――ガン!―― 「あぁああああ!」 貴明は給水塔の壁を蹴りながら叫んだ。 鉄の壁をも破壊しそうな大きな音と、あたしのすべてを否定する貴明の叫びは、あたしの体をすくませる。 「うるせぇんだよ、てめぇ」 さっきまでの貴明の笑顔は消えて、目が鋭くなっている。 貴明の感情は猫の目のように、ころころ変わる。 だから誰も貴明には気を許さない。 「もともとチィが悪りぃんだよ。ふらふらしてっから」 ゆっくりとあたしのところに歩いてきた。 胸ぐらを掴み上げる。 「お前は俺の側にいりゃいい」 あたしの体は引きずられて、貴明にぶつかる。 その勢いのままキスされた。 奪うだけの、喰らいつくようなキス。 貴明はまるであたしを壊すかのようなキスをする。 いきなりで乱暴なだけのキス。 「逃げるんじゃねぇ」 あたしが拒むことはけして許さない。 「お前は俺のもんだ」
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加