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2 恋人?
「なんか彼氏に誤解させちゃったみたいで、悪かったね」
「彼氏じゃないです」
一応否定したけれど、ユキ……、いや高校の制服を着た先輩は薄く笑っただけだ。
あくる朝、懲りずに私の前に姿を現した先輩は、こめかみにバンソウコウを貼っている。
頬も腫れているし、そこいら中の痣が痛々しい。
先輩に教室の入り口まで呼び出されたあたしは、いやがおうにもクラスメートからの注目の的になった。
だけど昨日の今日だ。
場所を変える気にもなれなかった。
今朝はまだ登校していない貴明が、あたしがユキと消えただなんて知ったら、激怒するにきまっている。
今度こそ何を仕出かすかわからない。
想像するだけで寒気がする。
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