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「タカ、何を!」
あたしの叫びを無視して、貴明はへしゃげた窓枠をつかんで、中に押し入ってこようとする。
そこに割れたガラスがあろうとお構いなしだ。
ジャリッ
貴明の靴の裏で、砕けたガラスが鳴った。
その瞬間、
――キィイイイイイン――
奥歯の芯まで震えが走るような不快な音が、部屋中に響く。
あたしは思わず両耳を抑えてしゃがみこむ。
音の正体は、ユキがマイクをスピーカーにぶつけたハウリングだった。
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