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4 仲間
あたしがユキの曲に夢中になっている間に、夕立でもあったのだろうか。
雨の匂いにするアスファルト。
夏の夜は暗くなっても賑やかだ。
虫の声、家の窓から漏れる灯り。
「――っ! タカッ!」
走って追いかけたせいで息切れしてうまく声が出ない。
膝に手を置いて、あたしは呼吸を整える。
自分の息する音も邪魔だと耳をすませる。
ともしびの灯る家の窓から、それぞれの家族の声が聞こえてくる。
笑う声、叱る声、他愛もない会話。
貴明の家はいつもシンとしている。
お母さんがいたはずだけれど、最近は姿を見ていない。
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