1 幼なじみ?

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膝をバネにして跳ねるように突きあげた拳が、アッパーカットとなって男の顎をとらえ、男は円を描くように吹っ飛んでいく。 「ウォオオオオ!」 貴明はそれを見届け、爆発するような声をあげた。 意味なんかない。 ただ獣が本能のままに叫ぶ声。 でも貴明を囲んでいたユキたちは、その吠え声に驚き、身をすくませる。 自分の喉を獣に食い千切られる錯覚でも見たのだろう。 一瞬だけ固くなった体を、貴明は見逃さない。 貴明は相手の視界から外れるように身をかがませ、地面に手をついて足を独楽のように回す。 下半身狙い。 男たちは足を払われすっ転んだ。 派手なパフォーマンスの割には、せこい小技だけど、 ユキだけに狙い定めて貴明は飛びかかり、間髪いれずに顔面に一発叩き込む。 その様子は、計算された捕食者のそれだ。 長めの金髪をたてがみのようになびかせ、牙の代わりの両の拳を血で染める、 ――若いライオン――
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