空からのシグナル 番外編 心のシグナル

心のシグナル

例えば、積極的に参加しだした体育の時間のバスケットボールで、

クラス全員がびっくり、あんぐりと口を開けてしまうような見事なダンクシュートを決めたとか。

英語の時間に突然あてられたクセして、先生も驚くような完璧な発音で教科書を読み上げたとか。

思わず惚れ直してしまう事象が次々と発生するのに対し、肝心の自分にまったく成長がみられないせいだ。

真っ黒で重たい髪はやぼったいし、おでこのニキビは消えたと思ったらすぐに次が出来る。

成績も普通で体育も普通。

どこにでもいる普通の女子。

それが高校生になったからって、簡単に変われるわけがない。

中学時代はくったくなく『リュウ』と呼べたはずなのに、

高校生になってたちまち評価をあげたリュウを、今や馴れ馴れしく名前でなんて呼べなくなった。

そんなことをしたら、他の女子からの視線が怖すぎる……。