心のシグナル

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「はあ~」 とため息をついていたら、 「朝月さん。ちょっと手伝ってくれないかな?」 廊下に続く教室のドアが開いて声がかかった。 振り返ると二週間前から地理の教育実習生として訪れている臼井孝則先生が、ダンボール箱を両手で抱え、丸めた地図を肩にのせ顎でずり落ちないように支えている。 「朝月さん、社会科委員だろ。ちょっと頼むよ」 普通女子は割り振られる係りも地味だ。 『社会科委員』 「はーい」 香織は返事をして立ち上がり、クレナに合図を送って廊下に出た。
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