心のシグナル

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「いや悪いね。朝月さんって親切だから、ついいろいろお願いしちゃって」 臼井先生はメガネの奥の瞳を細めて笑う。 それって扱いやすい生徒だって意味かしら。 ちょっと穿った見方をしてしまうのは、この先生が女子から割りと評判のいい、インテリ系イケメン先生だからか。 「いいなあ香織ってば。臼井先生から特別扱いされてさ」 ただでさえ親しげに話しかけてくるリュウのせいで、クラス女子からの視線が痛いのに、 これ以上、私の立場を悪くしないで欲しい。 出来ることなら無視して放っておいて欲しいのが本音だけれど、与えられた仕事なら、嫌でもやらなきゃなんないよね。 口の中だけで愚痴を言って、臼井先生の肩の地図を引き受けた。
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