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プロローグ
沖縄。
サンゴ礁が美しいこの海は、スキューバーダイビングの絶好のポイントだ。
遊びにきていた大学生の6人組は、船を1艘チャーターしてダイビングを楽しんでいた。
そのうちのひとりが見当たらなくなったと、バディーが騒ぎ出すまでは。
山手線。
通勤ラッシュで混み合う時間帯なのに、一箇所だけぽかりと穴が開いたように広がる空間があった。
角刈りの頭に白いスーツ。
じゃらじゃらとアクセサリーをつけた男が、いかめしい顔でシートに足を広げて座っていた。
不機嫌そうに時々あくびを繰り返している。
どんな理由があるのか知らないが、黒塗りのベンツこそ相応しい男が、ひとり電車に揺られている姿は、ちょっと誰も近づけない。
男は誰にも声をかけられることなく山手線を何周かした。
事故で電車が急ブレーキをかけ、その体が人形のように通路に転がるまでは。
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