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どこかのラブホテルだとわかる、趣味の悪い一室。
天井から無理やり吊り下げられたメリーゴーランドからは場違いなオルゴールの曲が流れている。
ダブルベッドの上にはその大きさに見合わない、生後9カ月の女児が裸で寝転がり、時折その小さい手を伸ばして、回るゴーランドを目で追っていた。
その脇で髪を茶髪に染めた女が、今まさに絶叫せんと口を開けた状態で硬直し、結局、喉ひとつ鳴らすことなく首を垂れて生命活動を止めた。
床が尿で汚れていく。
ゆっくりと体を倒していく女の背後には、影のように立つシンがいた。
シンはさっきまで女の首に巻きついていた紐をポケットにしまうと、表情のない瞳を壁際に向ける。
そこにはもうひとつ、背中にナイフを突き立てられた男の死体が転がっていた。
シンは死体に歩みより、男の首から下がった一眼レフのデジタルカメラを持ち上げると、手馴れた操作でさっきまで撮影されていた画像を呼び出した。
中に女児の局部が大写しになった写真を認めると、少し眉をしかめてカメラからメモリーを取り外す。
ポケットにしまった。
「ああ、ううう~」
歌うような声をあげる女児をシンは一瞥する。
これからこの部屋は、誰かが異変に気付くまでただ放置される。
そのことを知ってか知らずか、女児は無邪気な笑顔でシンを見ていた。
シンは女児の視線から逃げるように背中を向けると部屋を出た。
振り返ることもしなかった……。
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