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男たちが礼をいって帰っていくと、オヤジは心地良い喉の渇きを覚えて、カウンターの水差しを取りに立った。
鼻歌まじりにコップに注いで一息に仰ぐ。
「おれはヤバいか?」
いきなり背後から掛けられた声に、オヤジは口に含んだ水を吹き出した。
振り返れば、驚くほど近くにシンがいる。
ワークブーツにジーンズにTシャツ、レザージャンパーを引っ掛けた、街のどこででも見かけるシンプルなスタイルだ。
さっきまでいた3人組とさほど変わらなく見える。
「シン、いつからいたね」
「いたよ、ずっとね」
たてつけの悪い表のガラス戸を開ける音も、奥のドアが開く気配もなかった。
そしてこんなに近くに立つのに、まるっきり人の気配がなかった。
「アイツら何だよ?」
この店に新顔はめずらしい。
しかも3人いっぺんにだ。
「ああ、遠藤が寄こした連絡係よ。ポチとタマとポン太ね」
名前もない三下らしい。
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