転校生がやってきた

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俺がある教室の前を通り過ぎようとした時、誰かの言い争う声が聞こえた。 「…だからっ、そんなのおかしい、だろ…?!」 「いやいや、おかしくないって、大丈夫。 はじめは慣れないかもだけど、ちょっと我慢してればだんだん気持ちよくなるから。」 「やめ…っ、近寄んな!!」 「…ちょ、暴れんなって。」 「誰かこいつ押さえとけよ。」 複数人の声がして、明らかに1人だけ声を荒げて抵抗している。 俺は慌ててそこの扉を開けた。 「…何してんの?」 俺が声をかけるとそこにいた奴らが一斉に俺の方を振り返った。 「あ?お前なんだよ?」 ギロッと睨まれる。 おー、怖っ。 「いや、俺が聞いてるんだけど。 お前らよってたかって1人相手に何してんだよ?」 「…れ、玲央…っ」 教室の奥の方から顔をのぞかせたのは、変装を解いた姿の転校生くんだった。 転校生くんの服は乱れて、今にも泣きそうな顔をしている。
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