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そんな組織を管理する教官の中にも、はみ出し者はいる。 その教官は、脱落者と称して、訓練中の子どもの死亡を虚偽し、暗殺技術を身に付けた子どもを、こっそりと国内外の組織に売りさばいていた。 その日からの訓練は、屋外で行われた。 夜の山の中に放りこまれ、決められた人数になるまで敵を打ち倒すという非道なものだ。 それは決着がつくまで終わりの時は来ず、その間、野生動物などにも備えながら、子どもたちは敵を倒す。 人間の手が加えられていない山の中を、うかつに彷徨うことは、非力な人間にとって、とても危険なことだ。 すでにそれを知っている子どもたちは、持っているすべての知識を使い、罠を仕掛け、敵を待ち伏せする。 動かない時間と、見えない敵との、ただひたすらの忍耐力と精神力の勝負だった。 子どもたちは、研ぎ澄まされた神経を辺りに張り巡らせて、命を繋ぐための食料を探し、命を守るために、ぶち当たった敵と戦う。 そこには一緒に暮らした仲間だとか、友達とか、家族という概念はなく、居るのは、自分と敵だけ。 それだけだった。
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