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中華屋『南チャン』の本来の店主は、禿げでデブで脂ぎった顔をした、チビのオヤジだ。 そんなオヤジが、女に夢中になって、店にほとんど帰ってこないというのも呆れた話。 そして店を放りっぱなしにしているオヤジに代わって、店を切り盛りしているのが、この『ポチ』と『タマ』と『ポン太』の3人組だ。 この3人は、所属していた暴力団事務所の内部抗争に巻き込まれ、身の危険を感じて、組から飛び出してきた。 そして、同じ抗争に巻き込まれ、こちらは店ごと諸国漫遊することになったオヤジに、ちゃっかりとついて来たのだ。 しかし、この3人組のお陰で、『南チャン』は中華屋らしく、ちゃんと料理らしきものを出す『店』になった。 それまでは、食事に来た客は追い帰していた、というから笑い話だ。 中華屋『南チャン』の、本当の正体は……、 『殺し屋出前します』 というのが、ひそやかに囁かれるこの店の宣伝文句。 そして依頼があれば、この店が出前する最強の殺し屋の名前が『シン』だ。
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